有頂天家族 (その2)

有頂天家族、読み終えたときにはとても気分が良くていい読書した!っていうすがすがしい気分でいっぱいだったんだけど、1日2日経って落ち着いてみると違和感も表面化してきた。

もう一回同じところ抜き書き。

我々は狸である。狸は如何に生くべきか、と問われれば、つねに私は答える−−面白く生きるほかに、何もすべきことはない。
洛中をうごうごする狸たちよ、一切の高望みを捨てよ。

これ、「狸だから」言ってるんだよね?メンバー全員がそこそこ豊かに暮らしてて、誰も飢えたり殺しあったりしてなくて、社会は謎の永久機関によって正しく運営され続けるファンタジーの世界の狸だという条件がついての上の話で、かつその中の一個人の意見だよな。

我々人間にもこの話に出てくる狸的な一面があるにせよ、またその一面は思いのほか大きいにせよ、これは人間にはそのままじゃ当てはまらない。面白きことは良きことで、そのことはたまに忘れてしまいそうになったりもする大事なことかもしれないけど、それだけじゃ足りない。やっぱり。そんなこと当たり前で、勘違いしないようにわざわざ狸のお話にしてあったり、また狸の中でも社会のために力を尽くす者を肯定的に描いたりと何重にもクッションをはさんだ上での記述なんだから本の側に問題はない。

ただ読んでる途中の興奮に浮かされて、俺が安易にそうだそうだーって拡大解釈しそうになってたから自戒するのみ。