ロッキー〈特別編〉 [DVD]
ロッキー〈特別編〉 [DVD]観た。ロッキーはこの映画の中で2度戦っている。アポロとの試合がまずひとつ、もうひとつは前半のエイドリアンを口説く部分だ。「俺はおまえを素晴らしいと思う、俺はおまえが欲しい」ということを、内気ゆえに反応が乏しいエイドリアンに対して行動で表現しつづけるっていうのはアポロとの戦いとどこか相似系に見えた。エイドリアンを部屋に招き入れるシーンのままならない感じは、アポロに殴られてふらついても倒れずにいるシーンとダブって見える。殴られても倒れないことと、沈黙に言葉を積み重ねていくこと。これらが2つが同じ「戦い」といえるとすれば、この映画にとって「戦い」とはどういうものなのか。

何かが無価値でないことの表現、というのはどうだろうか。第一の戦いでロッキーはエイドリアンが本人や兄や街の人間たちが思うような無価値な人間でないことを表現しつづけ、第二の戦いでは、自身が宝くじに当たっただけのクズでないことを表現しつづけた。