ポール・グラハムの「知っておきたかったこと」を読み返す。
http://www.shiro.dreamhost.com/scheme/trans/hs-j.html
やっぱいいな。経験を惜しみなく次の世代に与えようとする誠実な姿勢と、こっちがもやもやと感じていたことを的確に言葉にしてくれる知性が素敵。


「夢をあきらめるな」とかよく言うが、目標を長いレンジで変更しないことは特にすばらしいものでもない。大事なのは、後半部分、「あきらめるな」であり、要するに「士気を失わないこと」である。

「まず20年後を思い浮かべ、そこから逆算して今の自分の成すべき行動を決めよ。そして自律心によってその行動を成せ。」という典型的な自己啓発スタイルに彼は代案を出す。「面白いと思えて、可能性が広がるような方向に進め。具体的には、難しい問題に取り組め。行動を始める時のエネルギーとして自律心は必要だけど、走り出したらおもしろさや好奇心によって進められないといけない。(そうなるように、やるべきことを選べ。)」と。

カッコいいことよりも、正しいことよりも、自分が興味を持てることに取り組むべきだ。それが結果としてカッコよさや成功への近道だったりする。「やりたいこと」では表現としてまだ不明瞭。「最大のエネルギー源である、好奇心を発揮して取り組むことができること」をやるべき。見込みのある問題に取り組め、ということ。または、目の前の仕事から見込みのある問題を考えろ、ということ。

大人と子供の一番の違いは、大人は自分の人生に知的な責任を持っているので、いい仕事を成さないといけないと知っていることだ。だから大人は熱意を持って生きていられる。堕落のプロセスに落ちない。逆に言えば、それができることが大人であるということだ。