頂き物の餅が今までで最高にうまい餅で驚く。作ってからだいぶ日数も経ってるはずなのに、きめ細かくて、柔らかくて、焼いて醤油付けただけなのにお菓子のよう。これこそめでたい時に食べるハレの食べ物だと思った。

餅一つ作るにしても、とことん調べて考えて試して調整して、熱意を注ぎ込んできた人がいるんだなあと実感。ミクロな方向にも世界の豊穣さは用意されてるんだと思う。ただ、そのへんの奥深さが自分の一生を費やすに不足なしと心から思えるかっていうのはまた別の問題だけど。「サービスについて熱意を持つ人間は、ただのウェイターにとどまったりしない」というのも一つの真実だと思うし。

要は、自分の願望の抽象化をどこまで許すかだ。「うまい餅」に情熱をそそぐのか、「うまい料理」を追求するのか。もしくは、「金かせいでうまいシェフを雇う」ではいけないのか。より夢中になって生きるってことを考えるなら、ルールというものとはどうつきあえばいいんだろう?ここは崩しちゃいけない、というラインは必要だ。そうすることで、そのラインの内側でどんどん常識をブチ壊して遊ぶことができる。というか、そうすることでしか遊べない。