何かを見てちょっと気の利いたコメントを言ってみたり、ちょっとした冗談で場の空気をやわらげてみたり、そういうことがどのくらいできるかっていうことはその人の静的な性質であり、ちょっとやそっとで変わることがないと思っていた。もし変わることがあるとすれば、それは技術の習得によるレベルアップのようなものしかないとなんとなしに思っていた。

しかし今、自分は以前ほどそういうことがうまくできなくなっていて、格段にレベルダウンしているのがよく分かる。性質だと思っていたものが、実は話しがいのある友人との夢中になっていろんな話しをしたり、いろんな本を読んだり音楽を聴いたりおもしろいものに触れたりする、そんなこんなの生活習慣のたまものであったことを知る。

その人に備わった性質だと思っていたものが、操作可能な生活習慣でしかなかったというのは、絶望なのか福音なのか。