始祖鳥記 (小学館文庫)

始祖鳥記 (小学館文庫)

「始祖鳥記」を読む。久しぶりに小説を読んだが、いいもんだな。
人間に困難だが価値のある生き方を歩ませる一番の力は、他にそのような生き方を選んでいる人への憧れという力なんではないかと思う。この話でも人はお互いの生き方の気高さや情熱に影響されあい、自らの是とする方へ歩む力としている。物語というのはそんなふうに自分の望む方向にまっすぐ進むための推進力を得るためにはけっこういいメディアだ。歴史が長く、世界各地で使われ続けているのもうなずける。だから、魅力的で憧の対象になるようなキャラクターっていうのは物語の大きな美点のひとつだ。この話に出てくる人たちはどいつもまっすぐで魅力的で、だからこれはいい小説だといえる。