テルーの唄

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映画館でゲド戦記の予告編を見てその世界に一気に引き込まれ、「テルーの唄」のCDと前売り券を購入。CDシングルなんて買うの何年ぶりだろ。

心を何にたとえよう、って不思議なつぶやきだな。鷹にせよ花にせよ、とても上手に例えられてるようだけど、それでもまだ「心を何にたとえよう 鷹のようなこの心」って。心を何かに例えて、それを重ねてどうしようっていうんだろう。

例えるってのは異なるものの間から共通項をくくりだすことで、繋がりを見いだすことだ。ぽつんと単独で存在しているようなものを、ネットワークの一部として回収してしまう。

心を何かにたとえることは心を何かに繋げることであり、隣人によってその心の孤独がもしかしたら慰められるかもしれない。初めてこの歌を聴いた感動は、上手に慰められた感覚に近かったように思う。心を何かにたとえることは、心の孤独を慰める。

心の側だけのメリットではない。人間が本質的に利己的であり、自分自信にしか価値を認めないのなら、自分の心と別のものが繋がることによってしか世界に価値を行き渡らせることができない。鷹も花も他人も、自分の心と例えられなければその価値が感じ取れないのだ。心を何かにたとえることは、世の中を豊穣にする。