経済学的思考のセンス―お金がない人を助けるには (中公新書)

おもしろい。経済学の適用範囲ってこんなに広いんだな。社会とはインセンティブにしたがって行動する個人の集合である、という定義のもと、因果関係を解明してその辺のインセンティブを操作して世の中いい感じに変えちゃうぞーっていうのが経済学なのか。社会を個々人の欲望の力学で記述するということだな。

経済学といえばお金の学問だって思ってたけど、その定義内ではお金も代表的インセンティブというだけで経済学に必須のものではないということになる。でも個人の持つインセンティブを金銭的なものだけで近似できたら経済学としては世の中を簡潔に記述しやすくなって便利だから、しばしば経済学はその簡潔で不完全な記述をする。経済学者は分かってやってることなんだろうけど、最初にざっくり近似してる段階でそこからもたらされる結論は不完全なものでしかないってことは気をつけておきたいな。