他人を褒めるということは少なくとも3つの点において役立つ。

  1. 相手が喜ぶ。承認の喜び。それだけ世の中の総幸福量を増やすことができるということ。
  2. 相手との関係性が良くなる。もっとお互い協力的になれるかも。
  3. 物事の良い面を選択的に見る視点が養われ、自分が成長できる。

この3つの効果に絞って考えると、褒めることの一部として使われたり代わりに使われたりしている「自らをへりくだらせる」という行為にはあまり効果がないように思える。あくまで他人の美点を絶対評価し、スポットライトをあてるということがこれらのいい効果を産む。

では、へりくだることに意味はないのだろうか。まず、運用が簡単だということが挙げられるだろう。他人を褒めるということがさまざまな状況下でさまざまな他人に対して個別的で動的に行われないといけないのに対して、へりくだるという行為はそれらの共通項、「私はこの私を通じて世の中を見ている」という点に立脚して作ることができる。だからパターン化しやすくて運用が楽。初対面やまだ理解が薄い相手に対してでも成立させることができる。

「へりくだる」は理解が薄い相手への次善の策ということだろうか。いつまでもそれだけでしのぐのではなく、できる限り積極的に褒める関係性へと成長させていくことができたらいいな。