プロフェッショナル 仕事の流儀 宮崎駿

「プロフェッショナル 仕事の流儀」で宮崎駿の仕事の様子を見る。これだけクリエイティブで質の高い仕事をしている人でも、決して仕事が楽しいわけではないのな。違うとかだめだとか言って悩んで苦しんで不機嫌になっての連続であって、「楽しい」っていうのは仕事を人生捧げて為すべき行為たらしめているコアな価値ではない。ただ子供にも分かるような価値だから、みんな紆余曲折や倒錯させながらもそこに接続させて自分の行為の価値を広く説明可能なものにしたがる。でもやっぱりそれは不正確。楽しい、ではない。

「映画ってのは、これで世の中変えてやるって作らないとダメですよ。変わらないけど。」なんて言葉から垣間見えるように、世の中をあるべき姿に一歩近づけてやりたいって気持ちのほうが近いんじゃないか。歴史に名を残したいというような気持ちは全部名誉欲であって追っかけるべきもんじゃないと昔は思ってたけど、今はその気持ちがちょっと分かる。名を残してチヤホヤされたいんじゃなく、あるべき姿への変化の過程に名が残るほど大きく貢献したいって感じか。

あと、すごい実績を積み重ねた上にそれなりに年をとったにもかかわらず、仕事に気乗りがしなかったり息子を不愉快に感じたりするような、人間的に完成してないような姿が印象的だった。ともすれば世の中は上のほうにいる完璧な大人達が回してるような認識を持ちがちだけどきっとそうじゃないし、そうじゃなくていい。