しゃばけ

妖怪を従えている病弱の男の子が、江戸の街で殺人事件に巻き込まれるかわいく読みやすい推理もの。ストーリーよりもキャラクターと世界設定がおもしろさの重心で、シリーズが何作か出てるらしい。ライトノベルって読んだことないけどこんな感じか。

この本は今年の新潮文庫の夏の100冊にも選ばれていて、その小冊子では『妖怪が友だちなんて、憧れちゃう。病弱でも羨ましいぞ、若だんな。』というコピーがついている。読了後、このコピーを読んでちょっと驚いた。え、羨ましいのは若だんなの方なの?仁吉や佐助といった妖怪たちじゃなくて?

人柄だけは良いけどサバイブする力はちょっと足りない主人に絶対的に仕える実力者、っていう構図では仕える側の方が羨ましい。三蔵法師より悟空になりたい。「いけません坊ちゃん、お体に触ります」とか言ってみたい。言えるようになりたいっていうのが近いのかもしれない。仕える側の、大事なこととなすべきことがシンプルな形ではっきりしている状況や心境というものに惹かれるのだ。

俺は早く結婚して妻子を養う立場になったほうが幸せになれるのかもしれない。または、信仰を持ったほうがいいのかもしれない。

しゃばけ しゃばけシリーズ 1 (新潮文庫)

しゃばけ しゃばけシリーズ 1 (新潮文庫)