カラマーゾフの兄弟

かなり長い小説だったが、翻訳の良さもあってするっと読めた。登場人物の言ってることや考えてることの半分も分かってないような気がするが、それでもものすごく濃厚な読書体験だった。

とにかくいろんな登場人物がみんなよく考えてよくしゃべる。人間とその考え、その欲望と苦悩の多彩さ深さに改めて圧倒される。自分は本当にまだ全然人間というものが分かってなかった、ということに愕然としてしまう。

汚いものから高潔なものまで様々な人間の思いが描かれている中でも、「善く、正しく生きて行きたい」というある種真面目な思いが多くの登場人物の思いに共通して見受けられるのが印象的だった。そしてみんな、思うように善く生きていけないことに思い悩み、自己分析してもがいている。あたりまえのことかもしれないけど、こんなにリアリティを持って感じたのは初めてだ。

小説ってすげえな!

カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)

カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)