リア王
シェイクスピア初挑戦。戯曲を読むのも初挑戦。なかなか癖のあるものだな。
当たり前だけど、情景描写がなくて会話だけで話が進むので物語の状況をつかむのにちょっと難儀する。物語の中で起こった動きに対してリアクションがワンテンポ遅れてしまうような感じ。まるっきり小説と同じような意識で読み進めてしまったけど、もっとじっくりビジュアルや発声を頭の中で作りながら読んでいくべきだったのかな。
戯曲っていう形式にもお話の舞台設定にもなじみがなかったおかげで、どのへんが「それはそういうもの」であって「ここがこの作品の特色」なのかを自分の中で切り分けられてないような感じがする。例えば純真で善人役のお姫様が、放浪している自分の父親を探すために外国に軍隊を率いて乗り込んじゃったりするんだけど、そのことについて誰も嘆いたり責めたりしないのが違和感ある。
人物たちが罵倒するときの異常なテンションの高さや、自分の運命を嘆くときの過剰なヒロイックさとかはなかなか味わったことのないものだった。なんか今すごいもん読んでるなって気がした。錯乱した王と道化と気違いの振りをしている人の3つ巴の会話とか、もう無茶苦茶。全然話噛み合ってなくてわけ分からないけど迫力はある。あと、登場人物が全体的に人の話を聞かない、会話しない、自分の気持ちだけで突っ走る傾向が強い気がした。
面白い本だったとは思えなかったけど、なかなかに面白い経験ではあったと思う。
- 作者: シェイクスピア,安西徹雄
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2006/09/07
- メディア: 文庫
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