世の中がわかる「○○主義」の基礎知識

世の中に多々ある「○○主義」の簡単な解説と、それらの相対関係をまとめた本。取り扱う「○○主義」の範囲は政治体制(民主主義、立憲主義など)、芸術の表現(ロマン主義ダダイズムなど)など多岐にわたって、その数は90種類以上。まずたくさんの主義をテーマによって分類し、次にそのテーマの中でそれらの関係を整理し、最後にはテーマ内で図にまとめるという構成。

ある主義主張を掘り下げて解説する本はたくさんあるが、それらを俯瞰的に見て配置するための本というのはあまりなかったように思う。読んで頭の中が少し整理された感じ。すぐ忘れるんだろうけど。

ポジティブシンキングについて書いてある部分がおもしろい。

楽観主義は、ネガティヴなことに対しては一時的・特定的・他責的な態度をとり、ポジティヴなことに対しては永久的・包括的・自責的な態度をとることである

論理の普遍性よりも功利性を重視する思想、ということか。それでいいテーマもあるだろうし、それじゃいけないテーマもあるだろう。ポジティブであること=善、という空気があるように感じるが、常にポジティブであろうとすることの負の側面を自覚しておくことも大事だと思う。

なんらかの主義にのめりこむんじゃなくて、それらを自分で組み合わせて濃淡をつけて運用していくのが現実的でベターな解なんだろう。そのためには、いろんな思想の概要と一般的な強みと批判されるポイントをざっと知っておくのは有益だと思った。

章をまたいでいるせいで直接に対比されていないが、強い関連を感じる主義と主義もたくさんあった。この本は十分すっきりまとまっているように感じるが、スマートなまとめ方はまだ他にもいろいろあるんだろう。同じ趣旨で別の人がまとめた本があればそれも読んでみたい。

世の中がわかる「○○主義」の基礎知識 (PHP新書)

世の中がわかる「○○主義」の基礎知識 (PHP新書)