プロフェッショナルの条件――いかに成果をあげ、成長するか (はじめて読むドラッカー (自己実現編))
西暦1700年か、あるいはさらに遅くまで、イギリスにはクラフト(技能)という言葉がなく、ミステリー(秘伝)なる言葉を使っていた。技能を持つものはその秘密の保持を義務づけられ、技能は子弟にならなければ手に入らなかった。手本によって示されるだけだった。(p.10)
つい300年ほど前まで、どこの業界にも明文化された技術書なんてなかったということか。かなり驚き。確かに個人にとっては自分の専門分野は誰しもが習得可能な技能でなく、人生を捧げなくては身につけられないミステリーであった方が市場価値が高い。しかし実際は、技能が体系化されて公開されることで社会全体の生産性が大きくアップし、その分け前が個人にも十分に配分されたので結果として個人もトクをした、ということらしい。
しかしトータルでプラスになるというのは、失業のダメージや誇りを失うダメージを確率的なものに薄めての話。個別的には収支がマイナスになる人は存在する。それでもこういう話を聞くと、フリーソフトやクリエイティブコモンズのような知材のオープン化の流れはこれからも進むのかなと思う。
そういえば紀元前のローマ軍は宿営地の作り方までしっかりマニュアル化してあったみたいだけど、それってえらく近代的な発想の組織だったんだな。
プロフェッショナルの条件――いかに成果をあげ、成長するか (はじめて読むドラッカー (自己実現編))
- 作者: P・F.ドラッカー,Peter F. Drucker,上田惇生
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2000/07/01
- メディア: 単行本
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