「世界征服」は可能か?
漫画やアニメに登場する世界征服をたくらむ悪の支配者達の分類から始まって、実際に世界征服を実現しようとすればどんな問題に直面するかというシュミレーション、そして最後には世界征服ってはたしてうまみがあるの?という疑問から現代社会のしくみに着地。中盤ぐらいまではステレオタイプな悪の組織に対する突っ込みがばしばし決まってオタク的に楽しい読み物でありながら、終盤の社会論、善悪論も納得感が高くてお得な感じ。
メモ。
- 悪いことというのは、規模が大きくなったり期間が長くなったりすればするほどペイしにくくなる
- 支配するとは世話する義務が発生するということ
- 他の奴らを貧しくして富を自分のところにかきあつめる方針よりも、他の奴らといっしょに豊かになる方針のほうが強い
- 自分が欲しいものっていうのは、別の豊かな奴が作る。自分の支配下から出てくるのは「思い通りのもの」であって「欲しいもの」ではない
- 特権階級だけのうまみというものはなくなり、あらゆるものに現実的な差の値札がついてしまっている今の社会では世の中を支配するメリットがあまりない
「ぼくたちの洗脳社会 (朝日文庫)」にせよ「フロン―結婚生活・19の絶対法則 (幻冬舎文庫 お 26-1)」にせよ、岡田斗司夫の本は読み終えるとちょっと気持ちが軽くなってワクワクするような気持ちになって、同時にその可能性の広がりにちょっと不安さを感じるようなところがある。それは自由っていうのがそういうものだからだろう。
- 作者: 岡田斗司夫
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2007/06/01
- メディア: 新書
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