21世紀のドストエフスキー
NHKのETV特集で「21世紀のドストエフスキー〜テロの時代を読み解く〜」の再放送を見た。番組内容と自分の感想をごっちゃにしてメモ。
人間
現代の物語は、人間が持つたくさんの性質をキャラクターとして切り分ける。一方、ドストエフスキーは矛盾したもの、揺らぐものを1人の人物の中に詰め込む。ドストエフスキーの小説の登場人物は個性的ではあるけれど、いわゆるキャラが立っているというのとは少し違う。「このキャラならこの状況ではこう言うだろう、こうするだろう」ということが簡単には思い浮かばない。しかしそれが物語の深みとなっている。
悪
殺人も戦争も、主観的には「正当防衛」であるという意識を持って行われる。罪を犯す人間は自分達とは別種の人間なんだと思いたいけど、本当はそうではない。
また、そのような悲劇を野次馬的に望んでしまう獣性も個人の中にある。テレビで911テロの様子を見たときに、ちょっとワクワクしてしまったように。
信仰
ドストエフスキーの信仰の対象は「生命そのもの」なんじゃないだろうか。「神」は生命そのものに関心を促すための方便?一方、現代の日本の若い人は信仰を恋愛に求める。崇拝できる相手を探してる。他方、信仰を欲しない人たちもいるが、その人たちは実のところ自分が神になろうとしている。
- 信仰をもつよ派
- 信仰を持たないよ派(=むしろ自分が神になりたいよ派)
- 狭い世界に限定すればそこそこ神らしくできるよ派(オタク、職人)
- 万能の力を持つ金をたくさん手に入れて神を目指すよ派(資本主義)
- 自分の脳内ですべてを完結させれば自分が神だよ派(妄想)
- 神のようになろうとすること自体が大事だよ派
自分の命より大事なものはあるよ/ないよ の方が重要だろうか。