読書

下流志向

学ばない子供や働かない若者が増えてきたのはなぜか、という問題に対する視点の斬新さともっともらしさがおもしろい。おお、確かにそんな感じだ!というもやもやが言語化されていく喜びがある。子供が学ばないのは「割に合わない」と思ってるから。しかし往…

ヒューマン2.0

シリコンバレーの空気というかノリのようなものが伝わってきて楽しく読めた。目まぐるしい変化とスキルアップへの圧力を肯定さえできたらけっこう楽しそうだな、シリコンバレー。仕事も同僚も求められるスキルもどんどん変わるものであって、ひとつのあり方…

希望のしくみ

幸せに生きる、もしくはあんまり苦しまずに生きるっていう問題に対する上座部仏教的答えが合理的でバランスのいいものに感じられた。スマナサーラさんの著作をもっと読んでみたい。人生にあらかじめ備えられた意味なんてないけど、役割なら用意することはで…

ミスター・ヴァーティゴ (新潮文庫)

理念なり事業なり一つのことに捧げてこそ人生は価値があるという考え方はよくわかるし、それを賛美するお話も数多くある。しかし自分のふところ具合や他人の都合や社会の変化なんかによってあっちへ向かったりこっちへ向かったり、その度に今までのことをご…

プロフェッショナルの条件――いかに成果をあげ、成長するか (はじめて読むドラッカー (自己実現編))

西暦1700年か、あるいはさらに遅くまで、イギリスにはクラフト(技能)という言葉がなく、ミステリー(秘伝)なる言葉を使っていた。技能を持つものはその秘密の保持を義務づけられ、技能は子弟にならなければ手に入らなかった。手本によって示されるだけだった…

ローマ人の物語 (12) ユリウス・カエサル ルビコン以後(中) (新潮文庫)

ローマ人の物語の感想は、フレーズをちょこちょこ引用してはそれに感想を付けるこまぎれメモのような形が向いてそう。全体の感想なんて壮大すぎて手に負えない。 人間の行動原則の正し手を、 宗教に求めたユダヤ人。 哲学に求めたギリシア人。 法律に求めた…

ドラッカー入門

えらく広範囲の内容がばらばらの細切れになって詰まっている感じ。1冊の本を読み終えたって感じがあまりしない。ドラッカーは学問分野じゃなくて1人の人間なんだから、1冊の本にまとめるとなればこうなるのは当然なのかも。組織重要。世の中動かしてるのは国…

アフターダーク

「アフターダーク」を読む。この話全体がどういうテーマで何を言わんとしたかったのかはよく分からないが、さまざまなバックグラウンドを持つ登場人物たちがそれぞれの経験やそこから得た認識を話すところはどれも興味深く、表現も楽しいので満足。多分以前…

悪魔のささやき (集英社新書)

悪魔のささやき (集英社新書)作者: 加賀乙彦出版社/メーカー: 集英社発売日: 2006/08/12メディア: 新書購入: 2人 クリック: 18回この商品を含むブログ (40件) を見る 犯罪者や自殺未遂者が動機を問われて「自分でもどうしてあんなことしたのか分からない。悪…

経済学的思考のセンス―お金がない人を助けるには (中公新書)

おもしろい。経済学の適用範囲ってこんなに広いんだな。社会とはインセンティブにしたがって行動する個人の集合である、という定義のもと、因果関係を解明してその辺のインセンティブを操作して世の中いい感じに変えちゃうぞーっていうのが経済学なのか。社…

悪人正機 (新潮文庫)(2)

吉本隆明さんの考え方で印象的だったのは、「働くってことはあんまりいいことじゃない」「二十四時間遊びが理想」とかっていう仕事論のあたり。自分の考えとは大分ちがうなあ。そりゃ労働こそが大事っていうのが極まっちゃって清く貧しくストイックに、って…

悪人正機 (新潮文庫)

吉本隆明と糸井重里の共著。といっても対談本ではなく、「生きる」ってなんだ?「教育」ってなんだ?などと糸井重里が出すお題に対し、吉本隆明が語るというスタイル。糸井重里っていう名前と悪人正機っていうタイトルに惹かれてこの本を手に取った私として…

数学的思考法―説明力を鍛えるヒント 講談社現代新書

今日本人に求められている重要な力は、試行錯誤し粘り強く考える力と、自分の考えを相手に説明する力の2つである。数学の証明問題はその2つの力がいっぺんに鍛えられるので、数学の重要性は今ますます高まってきているのだ、という本。おもしろい部分は多…